思うこと

トリノオリンピックで見事金メダルを取得したフィギュアスケート荒川静香選手について、マスコミにいろいろ取り上げられているが、納得のいかない面がひとつある。
ここまでの過程について、どれくらいお金がかかったとか、親族に負担かけて、とか彼女の実績ではなく金銭的に着眼することだ。
好きなことで一所懸命努力して、努力してもどうにもならないかもしれないのに、あれだけ頂点を極めていくのは想像を絶する世界だろう。
何事も極めるには時間もお金もかかる。スポーツや芸術はとくにそうだろう。東大に合格するのだって、国立大学だから授業料は安いにしろ、それまで成績を上げる過程で下手したら教育費に何千万かかってるではないか。まして東大モラトリウムに見られるように、成績よいだけで社会に適応できないならば人として生きていく意味が見出せない。
ひとの親なら自分の子供が夢中になったり興味をもっていることに投資をするのは当然ではないか。かわいいものである。これが子供が努力も何もしないで、お金だけほいほいつぎ込むのであればただの親バカであろう。でも荒川選手のご家庭は決してそうではないと私は思う。
競技前日にうなぎ食べて何が悪い。体力スタミナつけようと思ったら本番前にそういうもの食べるのは当たり前である。食べたいもの食べた方が精神的にもリラックスできるし、現に私も本番前日に食べたことがある。逆に普段から体を使っているからこそ、自分の体のメンテナンスに気を使えるようになるのである。
もし親に金銭的余裕が無いのであれば、本人が少しでもいいから軽く仕事するとか、奨学金を得るとか、方法はいくらでもある。甘んじることは決してないはず。
私も(別に荒川選手と同じレベルに立つつもりは全く無いですよ)音楽を勉強してきて、まあ今は趣味になりつつあるが、いまだに言われることがある。
「音楽ってお金かかって大変ですね。」とか「難しい世界ですね」などなど。私から言わせてもらえば「だから何?」と。
お金かかって大変だからなんなのよ。人と違うことがしたいからあえて音大に入って、どうして本人が極めようとしているのに、金銭的な話を持ち上げる必要性があるのか。決して遊んでいるわけではない。そういう気持ちが世間から見て甘えてるのではないか、と思わせるのだろう。まあそういう発言をする人にそんなことを言っても理解してもらおうなんて気がうせる。
もちろん金銭的に余裕があるにこしたことないとは思う。そんなことでびくびくするようなら精神衛生上、演じることに支障が出るのでいっそのこと辞めてしまった方がいい。
私は歌も好きだしレベルはどうであれ、これからも極めたいと思う。うちは決して金銭的に楽ではなかったが何一つそのことに関して言わず支えてくれた親には本当に感謝している。同級生とすごしてて、うらやましいな、と何度思ったことか。しかし私が思っている以上に、そのうちの何人かの本物のお嬢さまは、そんなことをほとんど気にしないのである。むしろ向こうが気を使っているのだ。
今になって新しいことを見つけてそれで仕事がしたいと思って、案件見つけて好きなことで無事になんとか働きだした。それだって色々探しても運のよさがなければこの仕事には就けなかっただろう。決してそれを親に対しての裏切りだとは思わないし、現にうちの親は私に対して今の仕事に就くことを快く思っているに違いない。

まだ彼女は20代前半なのに精神年齢がきっと高いせいか4,5才上に見える。彼女には世間にあれこれ取り上げられようと気にせず、これからも彼女らしいパワーがあり、かつ自由でのびのびとした人を魅了する演技を見せてもらいたい。
何事においてもまずは行動、努力、その上での運のよさ。これに尽きる。荒川選手と同じピアスつけただけでは何も変わらないぞ。既に何百と問い合わせが入っているらしいが、あれは親からプレゼントされた大事な品なのだから。同じ品物でも思い入れが違う。
さ、これからスキーに行ってひと滑りしてきます。